桐村英一郎

ヨーロッパの西のはずれとアジアの東のはずれに「常若の国」と「常世の国」という似たような名の理想郷があることは興味深い。 熊野は女性原理が支配するところで、イザナミノミコトへの信仰が厚い。その一方で、イザナミの夫君のイザナキノミコトはどことなく影が薄い。 島のケルトも同じだ。アイルランドの神話には女神、地母神がたくさん登場する。そこではキリストの母のマリア信仰、そのまた母といわれる聖アンナへの信仰が不快。アイルランドの古名「エリン」も地母神エリゥに由来する。